山梨県 春日居の桃 こうはん農園の桃を全国にお届け


海外果樹事情通信 〜オーストラリア・ビクトリア州のモモ生産概況〜

第2回オーストラリア出張報告書

  1. 第1回目、視察のマティータ社ミック ダマニアルさんが話していた事の検証を行いたかった。
  2. 農業用機械はどのようなものを使用しているのか見たかった。
  3. 果樹袋かけグローブ「こうはんくん」のPRを行いたかった。

マティータ社より北側約70Km離れたコブラ町で農業を行っているRJコーミット社 経営者ジームスさんの農園で話を聞き、作業体験する事が出来ました。

  • 面積570ha畑を管理し、桃(ピンク色・黄色)180ha・梨100ha・リンゴ200ha・レモン80ha・麦10haを栽培しています。
  • 年間を通し60人忙しいシーズンは約100人(トラックドライバー含み)の従業員を雇い、4〜5人のチームに分かれて作業しています。AM7:00〜PM5:00の間雇用し月21万円程支払います、ほとんどが地元の人で、フランス人が数人含まれます。
  • 売り先のスーパーまで直接へ運んでいきます。加工品の桃はシェパートン町のSPC社(100年近く歴史の有る工場)まで運びます。
  • 果樹組合がコブラ町に有り、メンバー45人で2000ha耕作地を持つ者達の組合です。
  • 経営者の祖父がシェパートン町から引っ越し、その後 父親が農業を始めジームスさんが2代目です、42年間コブラ町で農業をやっています。
  • 桃の防除は13回位行なって、トラクターで引っ張って行なっています。
  • 水はマレー川からの水路を政府が作り、そこから水を供給し農地を広めて来ました。
  • この町はマレー川の観光と果樹産業の町です

トラクター30台・リフト50台・実を落とす機械3台。その他トラック・草刈機・バックホーンコンバイン・自動剪定はさみ・ボーリング設備・ガソリンスタンド設備

  • 見た事のない機械・多数有り、機械メンテ専用社員3人。アメリカ製と韓国製の機械が多く、日本製は無し。但し、多くの人は日本の自動車に乗っています。
  • 今回、岩間農機(株)より資料・カタログ・パンフレットを準備して頂き、マティータ社ミックさんとRJコーミット社ジームスさんへ渡し説明し、話を聞いてもらいました。また、日本の桃栽培方法も山梨園芸(桃の郷から)を見ながら説明しました。
  • 後日、RJコーミット社の事務所に呼ばれ「春に山梨に行きます案内して頂けますか」と言われ、「お待ちしています来て下さい」と回答しました。

桃の袋かけついては、ビックリ!日本では全ての桃に袋をかけるのか?この二重袋はどのように使用するのか?桃に袋をかける事など考えられないとの反応。更に、反射マルチを敷きますと話したらまたビックリ!昔、OKUBO(オオクボ?)と言う品種がオーストラリアに有りましたが今は有りません。柔らかい桃でしたが、この様な方法で作るとは知りませんでした。
 果樹に袋をかける「こうはんくん」のPRは駄目でした。

まとめ

  • 今年の夏(1月)天気が悪く毎週1回雨が降り、曇り日も多く、温度もMAX30℃。
  • 毎年40℃位まで上がるのに、不作の年になるかも・・・
  • マティータ社 ミックさんの話していた事が、ほぼ合っている事が確認出来ました。
  • RJコーミット社 ジームスさんへ感謝します。日本人が桃の話を聞きに行きたいと、
  • 何か所にも連絡を取りましたが断われ、諦め掛けていました。
  • また、マネジャーのダックさん、ワーカーのみなさん、親切に対応して頂きました。
  • ワーカーのみなさんが楽しそうに仕事をしている所がとても印象に残りました。
  • やっとオーストラリアの桃作りがわかって来たような気がします。

第1回オーストラリアへの農業視察

 私がオーストラリアの農園へ視察に行くことになったのは、趣味である空を飛ぶグライダーがきっかけでした。オーストラリアのフライトスクールから連絡があり、 飛びに来ないかと誘われました。その時、今私は桃農家にチャレン ジしていると話しました。すると スクールのあるタクマオール町の近くにはモモ園地がたくさんあり、そのフライトスクールから「モモ農園の視察とグライダー」の両方できます、是非いらしゃいませんか」と誘われました。私は 山梨県のアグリマスター制度が終 了し、補助金をいただいていたの で、その半額分利用してオーストラリア研修に、残りの半分はモモ 農家がもっとも重労働となる袋かけを、簡単に楽に早くできる道具(果樹袋かけグローブ)の開発に使いました。

視察農園の概況

オーストラリアでの第一回目の視察は2013年1月15日から、マティータ社のミック・ダマニアル氏の農園でした。

写真1:モモ園地の様子

 園地は、オーストラリア・ビクトリア州・メルボルンから北へ車で260km、海抜は120m、気温は1月の中、下旬で37〜42℃、最低気温が15℃位と温度差があります。当地は南半球ですから日本とは季節が逆になりますが、冬季は乾燥して、気温は氷点下になり、降雪もあります。土壌の状態は砂漠地帯のため、標準測定でphは6.5、苦土分31.4mg、カリ分32.6mgと高めです。  
 水利は、近隣のマレー川から誘引し、すべての園地にスプリンクラーを設置。その他に井戸が二カ所あります。
 モモの栽培はビクトリア州のみ栽培が可能であるとのことで、台木にはマザード種をメインに使用し、接木技術があります(写真1)。  
 この周辺の大型経営農家は50歳代の方が、自分の代一代でこの規模まで大きくしてきたそうです。そんなマティータ社は、約800haの園地を管理し、モモ、ナシ、リンゴの複合栽培により年間を通して出荷しています。販売額は円換算で年商10億円程になります。雇用は社員、アルバイトを含め約50人、当園地の他に契約農家が6件有り、12月下旬〜3月中3旬位までがモモの出荷のピークとなります。当社は基本的に小売店との取引のみで、契約したスーパーマーケットまで直接自社のトラックで運びます。毎日7〜8tをメルボルンに四時間、シドニーに12時間、ブリスベンには3日かけて運んでいます。

第1回目の視察を終えて

写真2:オーストラリアのモモの種類

マティータ社のモモの出荷基準は径が6.3〜7.5cmまでで、8.0cm以上は規格外となります。日本の感覚では大玉が有利と考えますが、オーストラリアでは子供にお弁当のデザートとして持たせる程度の大きさを求めているようです。
 色は特に基準がなく、糖度は11度から小売店が引き取ります。今回の視察中の糖度測定では、測定したモモすべてが13度位ありました。モモの種類もピンク桃、黄桃、ネクタリン、蟠桃(ばんとう)までありました(写真2)。  
 小売店での販売価格は量り売りで25玉程度が約15オーストラリアドル。オーストラリアは物価および人件費が非常に高くなってきており、小学校教員などの公務員が年齢25歳程度で年収1000万円を超えるそうです。この田舎町タクマオールでも年金生活者が年間の生活費に400〜500万円は必要なのです。
 この時、いろいろな話をお聞きし見学してみて、あまりにも日本との違いが大きく驚き、戸惑ったということが実感でした。日本に帰ってから、約2年の間この違いのことをずっと考えていました。初めて見聞きしたことは本当なのか?確認したい事がたくさんあったのです。幸いにして、前記のアグリマスター制度でいただいた補助金を使って開発した「果樹袋かけグローブ」の販売が好調で、資金ができたことで、再度オーストラリアへの視察に行くこととなりました。

2年越し第2回目の視察

 第二回目のオーストラリア農業視察は第一回目の疑問を解くための視察でした。
 前回視察をさせていただいたマティータ社のミックさんが言われていた事が、一般的なオーストラリアの農業事情なのか、私は2015年1月9日から、特に疑問に思っていた3点を確かめてみようと決めて、オーストラリアに向け出発しました。今回は、マティータ社からできるだけ離れた産地で話を聞きたかったこともあり、幸いにもマティータ社より北に約70km離れたコブラ町で農業経営を行っているRJコーミット社のジームスさんの農園で話を聞き、作業体験する事ができました。
 私が疑問に思っていた3点については、農業用機械はどのようなものを使用しているのか、広い農地をどのように機械化しているのか、オーストラリアでも果実への袋かけ作業はあるのか(有袋があるのであれば果樹袋かけグローブ「こうはんくん」のPRをする)。

視察農園の概況

RJコーミット社は570haの園地を管理し、モモ(ピンク色・黄色)180ha 、ナシ100ha、リンゴ200ha、レモン80ha、麦10haを栽培しています。
 年間を通じて60人、繁忙期には約100人近くの従業員を雇い、4〜 5人のチームに分かれて作し ます。ほとんどが地元の人ですが、フランス人も数人含まれています。午前7時から午後5時間雇用しています。

写真3:収穫したものを450kgコンテナで輸送

 RJコーミット社も販売先のスーパーマーケットまで自社のトラックで直接荷物を運んでいます(写真3、写真4)。また、加工用のモモはシェパートン町のSPC社(100年近く歴史の有る工場)まで運びます。

写真4:自社トラックで販売先まで運送

 コブラ町には果樹組合が有り、メンバーは45名で、合わせて2000ha園地を持つ組合です。その一員であるRJコーミット社は、経営者の祖父がシェパートン町から移住し、その後父親が農業を始めて、現経営者のジームスさんが2代目で、このコブラ町で42年間農業経営をしています。
 水利はやはりマレー川からの誘引です。水路は政府が作造成しました。そこから水を供給したことで耕作園地が広められてきました。コブラ町はマレー川の観光と果樹産業の町です。

写真5:アメリカ製の3輪リフト(やや不安定)

 農業用機械は、トラクター30台、リフト50台、実を落とす機械が3台あります。その他にトラック、草刈機、バックホー、コンバイン、自動剪定はさみ、ボーリング設備、ガソリンスタ ンド設備、そして見た事のない機械も多数ありました(写真5)。その機械のメンテナンスを専門に行社員が三名います。機械はアメリカ製と韓国製が多く、日本製はありませんでした。しかし、自動車となると多くのオーストラリア人は日本製の車に乗っているのです。

疑問の解明

今回、日本の農業用機械のカタログ・パンフレットを準備し、お会いした方々に説明しました。また、日本のモモの栽培方法をガイドブックで説明しました。結果、みなさん日本の農業機械やモモのつくり方に興味が出てきましたとの回答をいただけましたが、モモの袋かけについては、本当に驚きだったようです。「日本ではすべてのモモに袋をかけるのか?ここではネットをかける事はあるが、モモに袋をかける事など考えられない」との反応でした。さらに、反射マルチを敷くと話したらまた驚かれました。この時にオーストラリアではモモに袋をかけない事を知ったのでした

おわりに

今年の夏(一月)オーストラリアの当地では天気が悪く、毎週一日は雨が降り、曇りの日も多かったそうです。しかも温度も低く最高でも30℃でした。例年は40℃位まで温度が上り、常に乾燥している土地ですがここ何年かは良くないとの事でした。このこともマティータ社のミックさんから以前お聞きしていた事が、ほぼ合っているということが事が確認できました。  最後に、RJコーミット社のジームスさんに感謝致します。日本人の私がオーストラリアのモモの話を聞きたいと何カ所も連絡を取りましたが、断われ諦めかけていたのを快く受け入れていただきました。また、マネージャーのダックさん、園地や選果場で働くワーカーのみなさんにも親切に対応していただきました。そのワーカーのみなさんが楽しそうに仕事をしていることがとても印象に残りました。  今後も両国のモモ作りの参考になる事を見つけていければよいと思います。これから農業を始める人を含めて、若い果樹農家の方々に一言。 「是非海外を一人で見に行ってください。自分で計画し行動して初めてわかる事が多いのです」  新しい情報を少しずつ見つけて帰って来れば農業のイメージも変わると思います。  オーストラリアでは農業=カッコイイと言います。日本ではみな大変な仕事ですねと言います。私はこのズレを、日本の農家が「農業=カッコイイ」と言われるような果樹農業にしていきたいと思っています。


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